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石皿
いしざら
江戸時代後期(18世紀後半)に瀬戸全域で生産された厚手の大型の皿です。口辺に大きな反り縁(ふち)が付いているのが特徴で、石のようにかたい、と丈夫なイメージからこのように呼ばれました。直径六寸(約18cm)から尺三寸(約40cm)くらいのものまでありますが、八寸(約24cm)前後のものがとりわけ多くつくられました。
これだけの厚みのある器の縁を反り返すことができるのは、可塑性のある瀬戸の土を活かした技術があってこそです。深みがあるため、汁を含んだ料理にも使うことができて重宝されました。
洞地区で多く焼かれたものは、やや黄色みを帯びた土を用い、長石を砕いて土灰を混ぜた釉薬を施しています。でき上がりは、黄みがかった透明、あるいは白濁した表面となります。古いものでは、茶色(鉄絵(てつえ))や藍色(呉須(ごす))の絵の具を使って模様を描きました。モチーフは吉祥文をはじめ植物や魚、鳥獣など多種に及び、当時の文化を反映した役者絵や縁起絵などもみられます。
縁は外側に向けてほぼ水平に延ばされ、その先端が下側に折り返されています。この折り返した縁の先端と器の接点が窪んだ形になり、皿の縁とこの部分指で挟むことで掴みやすくなっています。
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